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「ネバーランド」

「ネバーランド」

20世紀初頭のロンドン。劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は、公園でシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)と4人の息子たちに出会う。三男のピーターは、父親の死後子供らしさを失っていたが、ジェームズはその姿に、自分が幼い頃に作り上げた想像の世界、ネバーランドを思い起こす。子供たちとの親交に刺激され、ジェームズは新しい劇に取り掛かるが、世間ではあらぬ噂が立ち、ジェームズの妻メアリーは孤独を感じていた。やがて新作「ピーター・パン」が誕生するのだが…。

***

見終わって気持ちよくなれる小品だと思います。ジョニー・ディップが地味に良い演技していたと思います。イギリス英語をしゃべってました。少年が一瞬にして子供から大人に変わる、といったシーンが出てきますが、家の子供を見てると実感します。4人の男の子たちのうち3番目のピーターに焦点が当てられていますが、長男の方が興味深く見られました。

ラスト、映画が終わって、真っ白い白い画面にフェード。そして筆記体で The End と出ました。こういう風に(昔の映画のように) The End と出て終わる映画をしばらく見ていなかったように思います。

014.jpg

100分ほどの映画でした。短い! 映画1本の料金は均一で、長い映画も短い映画も同一料金なので、短い方が、何度も上映できるので回転が良いってわけで100分に押さえたわけではなさそうです。というか適切な長さの時間でした。もっと言えば、作りがうまくできていたと思います。例えば、「主人公の夫婦が、別々の価値観を持っていて、仲が冷え込んでいる」ということが示されているのですが、それを行うのに、細かなエピソードを積み重ねずに、夫婦それぞれの寝室が異なり、別々のドアになっており、ドアの向こうが、妻の方は普通の寝室になっているのに対して、主人公の方は空想世界になっていることや、相手役の女性の母を招いた時のディナー風景で十分に伝わっていました。これは巧くやらないと「人物の関係が分からなかった、描写が弱い」と不満がでるし、かといって詳しく描くと時間を食い「くどかった、バランスが悪い、盛り上がらなかった」となると思います。そこの辺りのバランスは、非常に難しいと思います。監督、制作、編集の人たちの映画に関する勘が、試されるところです。

これは映画だけに限らず、何かを創り出す活動では常につきまとう問題です。例えば、何かストーリーを書く場合。このくらいでやめておこう、いや、もっと書き込まなくては、とかジレンマがあると思います。音楽とか絵とかにも、いや普通の製品を制作する時でも庭のレイアウトを考える時でも料理の味加減を考える時でも何でも、同じようなジレンマがあると思います。「絶妙のバランス」という言葉が誉め言葉でよく使われますが、そのような絶妙のバランス感覚はどうやったら身につくのでしょうか。例えばストーリーを書く場合でなら、「他の作品をたくさん読め」とか「何度も書いて試行錯誤を続けろ、人の意見を聴け」とかなのでしょうか。でも、そういう根性論では身につかないレベルのセンスのように思われるのでした。個人間で、どうしてそのようなレベルの能力の差が出てくるのか、実に不思議です。きっと、無意識に見ているところ、関心を寄せているところが違うのでしょう。
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